蔵の改装日記 その8

前回バラした蔵の出っ張り部分。

いろんな部材が似通った寸法であることにあらためて気付かされます。

笑顔は作り笑い

木材以外の廃材。

あんなに小さな屋根にもかかわらず、瓦の数はおよそ200枚。
粘土を焼成して作られた瓦は、もろく、すぐに割れます。

縦に埋めて玄関までのアプローチに使用するつもりです。
束石も飛び石として使えるかな。

トタンはあちこち錆びて穴があいていて、さすがにこれは再利用できず処分します。

さて、新たに小屋を新設する部分で最も重要なのが基礎。
しっかり地固めして、束石を新たに設置。ここに梁を建てます。

束石はコンクリートブロック

床部分は地面から必ず浮かせること。地面に近いと湿気でえらいこと(カビ)になります。

何かと便利な簡易作業テーブルの脚は十字に組み合わせてサブロク(90センチ×180センチ)のコンパネ板を乗せて使用します

デザイン会社で働き始めた新人の頃、現場で職人さんが使う言葉がさっぱりわかりませんでした。

「サブロク」とか「シハチ」とか、建築や内装の現場では、いまだに尺寸で呼ばれることが多いです。
新人はコレ(=共通言語)を覚えるところから。

一尺=約30.3センチメートル
一寸=約3.03センチメートル
一分=3.03ミリセンチメートル

一寸法師は約3センチ(ちっちゃ)。

「一寸の虫にも五分の魂」のことわざの「五分」は約15ミリ。

ん?15ミリの魂って?


体長わずか一寸(3センチ=30ミリ)の虫でさえ、その半分にあたる五分=15ミリの魂があるという意味。

なるほどー!

↑のサブロクは横サブ(三尺=約90センチ)×縦ロク(六尺=約180センチ)で90センチ×180センチの板ということですね。

そもそもこの「尺」は人体の前腕にある「尺骨」の長さから来ていて、日本だけでなく東アジアで同じように使われているんですねー。

さらにはフランスの建築家ル・コルビュジエが、作った建造物の基準寸法の数列「モデュロール」も人体の寸法と黄金比から。

寸法面白いわー。

蔵の改装日記 その7

蔵横の出っ張り部分。
当初は基礎の束石があるのでそれを生かして、小さな小屋をつけることにしていました。

母屋の端、蔵のすぐそばには今は使われなくなったトイレもあったので、お客様にはそちらを使ってもらおうかと、、

しかし、また靴を履いて外に出ることや、雨の日煩わしさを考え、冷蔵庫スペース&トイレにすることにしました。

ここからは早送り(笑 >>>

屋根は古い梁に新しい建材を継ぎ足したもの。お風呂があったとのことで、湿気のせいでところどころ腐ってます。

土壁も薄く、ここまでは簡単

結構がっちり「ホゾ組」されていた大物の梁を取り外して。バールとハンマー大活躍(笑

ここは人力では無理。大工さんにお願いしました。

基礎は使える?
いやいや、切り出した石にコンクリを流してますが、古く強度も不安な為、取り除くことに。
壁にくっついていた横の梁も独立していて無事取り外せました。

モダンアートみたい

ここに穴をあけます。梁の間の壁は、竹を麻ひもで結わえて粘土を盛っています。一番表面、漆喰が素人では塗れないんですよねー。

将来的にはかまどを使って調理した食事も提供したいということで、裏に繋がる出入口も新設することにしました。

結果的にこの出入口は最も使用頻度が高く、図面だけではわからなかった、四季を通じての採光にもとても役立っています。

今回の改装で最も良かったな、と感じた部分でした。

蔵の改装日記 その6

蔵横の出っぱった小屋の屋根を落とす(解体する)と決めました。

蔵の改装日記 その3

のはいいけど、さてどこから手を付けたら良いものか。
建てた順番を逆さまに辿っていくことにします。

まずは屋根瓦。

昔の瓦は粘土を焼成して作られたもので、それらを木の骨組みの上に藁苆(わらすさ)を敷き詰め、土(粘土)を盛って、その上に重ねています。

瓦は一枚一枚が現代のものに比べて小さく、焼き締めも低温のため、とてももろいです。
それら瓦の「重ね」を密にすることで、雨風を防いでいたのですね。

固さの比較でいうと、

昔の瓦=ロシアンクッキー

ロシアンクッキー


今の瓦=泉屋のドーナッツみたいなやつ

泉屋のドーナッツみたいなやつ

解体する側からいうと、「小さくて密」ということは、すなわち枚数が多い、ということ。

小さな面積に驚くほどたくさんの瓦が乗っかっていました。

まずはそれらを下ろし、、
次に瓦と骨組みの間の粘土(土)を下ろすことにします。

粘土はカラカラに乾燥していて、土ぼこりがすごい。マスク必須です。

瓦を下ろしてみると、下地の骨組みがでてきました。ん?意外と新しい?

横桟の元の梁は古そうだけど、屋根を支持している部分は新しい建材です。
この出っ張りは後から付け足したものかも。←良い(外しても本体に影響がない)かも^^

並行して、床を整えます。

雨の日は内装作業、貼ってあったカーペットの処理中。下地のベニヤはなんとか生かせるかも。

カーペットを貼っていた両面テープが超強力で剝がすのに苦戦!

最終的にはトーチ・バーナーの炎をあてながら、スキージー(ヘラ)で落としました(汗