田舎暮らしとモザイクタイルの流し台

私たちが住んでいる杵築(きつき)市のお隣、国東(くにさき)市の「地域おこし協力隊」で頑張ってるHさんの古民家改装のワークショップに参加してきました。

ワークショップでは床を作るところ、根太の上にベニヤ板をインパクト・ドライバーを使って貼る(ビス止めする)体験をしました。


田舎暮らしにもかかわらず(?)妻はインパクトドライバーを持った事がなく、一(いち)から丁寧に教えていただき、よかったです。

肝心の床は基礎からしっかりレベルを合わせていて、とても丁寧です。こりゃあ古い家も喜んどるやろう。

休憩中にふと庭のスミに目をやると、モザイクタイルの流し台がこちらを見ています(ツレテッテクレ)。

これって。。

そう、ウチ(森美)にもあるやつ。移住当初、庭の片隅に転がってたやつ。
今ではコンクリートブロックの台座の上、上下水道を繋いで、蔵(カフェ)裏で活躍しています。

物欲しげに眺めていたところ「使うんだったらあげますよー」と。

「マジデスカ!?」

早速いただいてきました。

田舎暮らしではちょくちょく見かけるこの流し台。
想像ですが、井戸から上下水道に設備を替える際に、ステンレスなどの新しい流し台に交換したのではないでしょうか。

まあ、確かにステンレスの流し台の方が使いやすいし、こっちは何より重い。(推定50kg)
多くは鉄筋の筋交いを入れたコンクリートにモザイクタイルが貼られていることが多いです。

そして、結構な確率で割れてる。

今回いただいたこれはひび割れもなくとてもきれいです。

どこに設置しようか考え中です。

蔵の改装日記 その9

森美カフェの床はジビエです。

外の小屋を解体〜再生している間に、内装は床をどうするか思案していました。
カーペットを外したあとは、目地の粗いベニヤがむき出しです。

当初の案は「足場板を敷き詰める」でした。

厚さ36mmの工事現場で使用する足場板を敷き詰めようと考えていました。
テーブルも足場板を利用したラスティック仕様にしたい。


で、置いてみる。現場確認が一番。

ふむふむ、床に表情が出て、これはこれでおもしろい。

しかし、意外と広い床面(横約5.8M×縦4M)で、足場板を購入〜加工するとなるとそれなりに金額もかかります。


なにより、極力コストは抑えたい。それにただでさえ低い天井が、さらに低くなるのも避けたかったのです。

散々悩んだあげく、「塗ろう」と。

目地の粗さはパテで埋めて表面に絵を描く事にしました。(これが後日とんでもない事になるのですが、この時はまだわかりません。)

柱を養生(マスキング)して床はパテ塗って、、

広い面に色を塗る時は下地を塗ってから色を乗せるのですが、コツは下地の色を真っ白で塗らない事。
下地を薄いグレーで塗る事で、下地の色を拾う事なく、最表面の色がムラなく、発色良く塗る事ができます。

下地は薄いグレー

↑これは以前、ショーウィンドウのディスプレイデザインを生業にしていた頃、施工でお世話になった職人さんに教わりました。

このときのショーウィンドウ。壁面はプリントではなく、『絵』です。

昔、映画の看板を描いていたという、高齢の絵描きさんに現場で描いてもらいました。


狭く暑い、ショーウィンドウの壁面は後ろに下がって全体像を確認する事もできず、いちいち外に出なければならないし、垂直の壁で水が使えません(垂れてしまう)。

どうするのかドキドキしながら現場管理していると、絵描きさんは、左手に塗料(アクリル絵の具)を、右手には大きな筆(刷毛)2本を手に持って、色を乗せつつフチをぼかす。

「金魚は泳いどるように描かんとな」

の言葉が今も忘れられません。真っ白な壁面に、みるみるうちに川が流れ、魚(鯉です^^;)が泳ぎます。

めちゃくちゃ格好良かったです。

現場が終わるとそのまま別れてしまい、その後お会いする機会を失ってしまった事が悔やまれます。

このショーウィンドウはその年のディスプレイ賞を受賞しました。


ちょっとは恩返しができたかな。

蔵の改装日記 その8

前回バラした蔵の出っ張り部分。

いろんな部材が似通った寸法であることにあらためて気付かされます。

笑顔は作り笑い

木材以外の廃材。

あんなに小さな屋根にもかかわらず、瓦の数はおよそ200枚。
粘土を焼成して作られた瓦は、もろく、すぐに割れます。

縦に埋めて玄関までのアプローチに使用するつもりです。
束石も飛び石として使えるかな。

トタンはあちこち錆びて穴があいていて、さすがにこれは再利用できず処分します。

さて、新たに小屋を新設する部分で最も重要なのが基礎。
しっかり地固めして、束石を新たに設置。ここに梁を建てます。

束石はコンクリートブロック

床部分は地面から必ず浮かせること。地面に近いと湿気でえらいこと(カビ)になります。

何かと便利な簡易作業テーブルの脚は十字に組み合わせてサブロク(90センチ×180センチ)のコンパネ板を乗せて使用します

デザイン会社で働き始めた新人の頃、現場で職人さんが使う言葉がさっぱりわかりませんでした。

「サブロク」とか「シハチ」とか、建築や内装の現場では、いまだに尺寸で呼ばれることが多いです。
新人はコレ(=共通言語)を覚えるところから。

一尺=約30.3センチメートル
一寸=約3.03センチメートル
一分=3.03ミリセンチメートル

一寸法師は約3センチ(ちっちゃ)。

「一寸の虫にも五分の魂」のことわざの「五分」は約15ミリ。

ん?15ミリの魂って?


体長わずか一寸(3センチ=30ミリ)の虫でさえ、その半分にあたる五分=15ミリの魂があるという意味。

なるほどー!

↑のサブロクは横サブ(三尺=約90センチ)×縦ロク(六尺=約180センチ)で90センチ×180センチの板ということですね。

そもそもこの「尺」は人体の前腕にある「尺骨」の長さから来ていて、日本だけでなく東アジアで同じように使われているんですねー。

さらにはフランスの建築家ル・コルビュジエが、作った建造物の基準寸法の数列「モデュロール」も人体の寸法と黄金比から。

寸法面白いわー。